タクシードライバーに出演したロバート・デ・ニーロ

時代の変遷

僕がタクシードライバーになった時の事を思い出しながら、記しましょう。
僕は愛知県名古屋市南区という町に生まれ育ち、実家の弁当屋を継ぎながら、この町に住む人々と共に40年程度過ごして来ました。

昔からの馴染み客には、こだわり抜いたお米・車で朝一番で卸してきた魚、新鮮な野菜類等は評判で、リピーターは多いのが当たり前の光景だったのです。
しかし、昨今では大型スーパーや著名なファッションビル等が次々と誕生し、実家の周りの風景も様変わりしました。
そして、弁当屋を営む事が難しくなって来た私は、お店をたたまざるを得なくなったのです。

迷い人

しばらくは何をして良いのか分からず、ぶらぶらするばかりでしたが、妻子を食べさせていく為には稼がなければなりません。
とはいえ現在50歳前で、特別なスキルも無い私が出来る仕事を見つける事は至難の業です。
就職するなら昔は年齢の数だけ、受けてみなさいという教訓がありましたので、50以上の企業に書類を送り面接を受けましたが、良い結果は出ません。
ある日、受験する企業の面接日時を間違えてしまい、通常は電車でいく所を、タクシーで行かざるを得ない状況になりました。

メーター付近に掲げられたドライバーの写真は、ベテランの香りがしたので、僕はこの商売は長いんですかと聞くと、つい先日はじめたばかりで1ヶ月くらいですと言うのです。
僕は自動車の運転は、あくまでも業務の為に乗るものであり、楽しみの為に乗る人の対局にいたと言っても良いでしょう。

ロバート・デ・ニーロ出演のタクシードライバーを思い出す

しかしこの時、人を乗せて依頼先まで届けるという仕事も良いのかもしれないと、ふと思いました。
昔の映画で、若きロバート・デ・ニーロが出演した映画のタイトルと同一で、オープニングに流れる印象的なジャズが思い出されます。

目的の会社に到着し、下車をして見送ると、つばめタクシーと書かれています。
結論から言うと残念ながらここの会社も、NGでした。
しかし、それよりも私はレンタルビデオで、タクシードライバーを借りて見ると、運転手という仕事も良いかも知れないと思い始めました。

私はパソコンで調べてみると母体はしっかりしており、正社員での募集です。
そして求人情報としては、どうやら年齢や性別には拘りが無いようなので、早速面接をお願いしたいという旨を伝えました。
後日つばめタクシーに向かい、面接が開始されると、昔はお弁当屋さんをやっていた事と、一般の普通免許は持っている事を確認すると、来てくれますかとの返事です。
私はこの職種は初めてですが、頑張りますという少々青臭い返答をした事を、今も覚えています。
ロバート・デ・ニーロの様な端正な顔立ちではありませんが、明るく接客の経験を活かして頑張っているところです。